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September 17, 2020

取得前に知っておきたい!男性の育児休業

結婚・子育て

「子育ては夫婦で協力していきたい」と考えている男性にとって、育児休業を取得するかどうかは重要な選択になるかと思います。特に、初めての妊娠・出産では会社で育児休業が受け入れてもらえるか、収入が減少するのではないかと不安に感じることも多いでしょう。今回は男性が育児休業を取得する際に知っておいた方がいい情報と、育児休業取得に向けた今後の対応についてお話しします。育児休業は、夫婦で取得するとメリットもあるため制度をしっかり理解し、前向きに検討していただきたいと思います。

1. 男性も育児休業を取得することが出来る

育児休業は性別を問わず取得できます。男性の育児参加を促すために、国や会社が育児休業の取得を推奨していますが、男性の育児休業取得数はあまり増加していません。

まずは、男性の育児休業取得の現状を見ていきましょう。

 1-1. 男性の育児休業取得率

女性の育児休業取得に対して、男性の休業取得はかなり低迷しています。男性は働いて家庭を養うという考えもまだのこっており、男性の育児休業にあまり理解を得られない職場も少なくないようです。

男性が育児休業を取得しなかった理由について次のようなものが挙げられました。

①業務が繁忙で職場の人数が不足していた

②会社で育児休業制度が整備されていなかった

③育児休業を取得しづらい雰囲気だった

④自分にしかできない仕事や担当している仕事があった

⑤出世に影響するのではないかという懸念

 1-2. 取得したい男性は増加傾向

共働き家庭の増加により「夫婦共に協力して子育てを行う」「妻の育児負担を軽くしたい」など家庭に対する意識が変化しています。若い世代を中心に男性も家事や子育てのために育児休業を取得したいと考える人が増加してきていますが、仕事上の理由や会社の環境などにより申請できなかったという方も少なくありません。しかしながら、男性が育児休業を取得することにより、夫婦で子供の成長を感じることができたり、夫婦間の絆が深まるなどメリットも多くあります。

 1-3. 男性が育児休業を取得するメリット

・育児がスタートした時から夫婦で協力できる

初めての出産の場合、子育てについて心配事が多くなるのは女性も男性も同じかと思います。初めてのことが多くある中で夫婦で育児をスタートできれば、その後の子育てや教育についてもスムーズに進めることができます。

・育児休業復帰後の日常生活でも育児・家事ができるようになる

育児休業中、子育てについて勉強したことは仕事に復帰した後も活かすことができます。掃除や洗濯、食事など家事全般をいきなり引き受けると仕事と私生活の両立に苦労してしまう場合があります。休業の時間を活かして育児と家事の両立ができるようにしておきましょう。

・マネジメントスキルの向上

食事におむつ替え、睡眠と育児は24時間続き、それに加えて家事も行うこととなります。

育児と家事を効率よく進めていく方法、スケジュール管理、慣れない生活に対処していくストレス耐性など、育児休業を経てマネジメントスキルを磨くチャンスにもなります。

2. 男性の育児休業

積極的に育児に協力したいと考えている男性が増え、夫婦共に子育てがしやすい環境が整備されつつあります。育児休業は男女共に取得が認められている制度ではありますが、中には男性が育児休業を取得した場合のみ適応される制度があります。これから育児休業の取得を検討されている方は、今ある制度を理解し活用していきましょう。

 2-1. 育児休業制度

子供が1歳になるまでの間、育児休業を取得できる制度のことで、この休業は女性・男性共に取得することが出来ます。また、一定の条件を満たした場合には育児休業を子供が最長2歳になるまで延長が出来ます。

【育児休業取得の条件】

・1歳未満の子供を養育する男女労働者

・事業主に引き続き1年以上雇用されている

【育児休業延長の条件】

・保育所等の入所を希望し、申し込みをしたが入所できない場合

・配偶者に養育をお願いする予定だったが、病気等により養育が出来なくなった場合

 2-2. パパ・ママ育休プラス

「パパ・ママ育児プラス」とは夫婦共に育児休業を取得することで、本来であれば出産後、子供が1歳になるまでの1年間で取得する育児休業を、子供が1歳2か月になるまで延長できる制度のことです。子供が1歳2ヵ月になるまでの間、夫婦は育児休業の取得を調整しながら子育てがきでます。それでは、取得方法のパターンをご紹介します。

<パターン1>

男性が途中から育児休業を取得するパターンです。女性が職場復帰をするまでの間、子育てのバトンタッチを受けることができるため、子育ての仕方を共有したり、家族で一緒に過ごすことが出来ます。女性の職場復帰後の2ヵ月間は男性の子育てが始まりますが、バトンタッチの期間があるため、女性も安心できるのではないでしょうか。また、男性も仕事の担当交代など休業前の対応を余裕をもって行うことが出来ます。

<パターン2>

女性の育児休業が終わると同時に男性が育児休業を取得するパターンです。出来るだけ休業期間を短くしたい方は子供が1歳になった時期(母が職場復帰を開始する時期)から1歳2ヵ月になるまでの2ヵ月間のみ育児休業を取得することが出来ます。2ヵ月以上休業を取得したい場合は、子供が誕生日を迎える前に取得する必要があるため注意してください。

育児休業をどのように取得するかは家庭によって異なるため、制度を上手に活用してお互いに負担が少なくなるように取得方法や期間について話し合っておきましょう。

 2-3. 男性の育児休業で活用できる制度

男性が育児休業を取得したことによって活用できる制度がパパ休暇です。女性の産後休業期間中(出産後8週間)に育児休業を取得した場合、男性は2度目の休業を取得することができる制度で、出産から8週間夫婦で子育てを行い、男性は一度職場に復帰します。その後女性の職場復帰の時期をみて育児休業を再取得することができます。出産後に育児や家事を経験しているため、育児や家事もスムーズに行うことができます。

3. 男性が育児休業を取得するためのポイント

男性も育児休業を取得する権利がありますが「職場からの理解が得られない」「キャリアに響くか心配」など、仕事の理由により取得するか悩んでいる方も多いかもしれません。まずは、仕事に影響を及ぼさないためにも、事前に育児休業についての理解を得ておくことが大切です。男性が育児休業を取得するためのポイントが何か紹介します。

 3-1. 職場での良好な人間関係を築く

現在では男性の育児休業取得に力を入れている会社も多くありますが、まだ風土作りが整っていない会社も少なくありません。職場の中で上司や同僚などと良好な関係を築いていれば理解を得られやすくなります。育児休業期間中は自分の仕事を引き継ぐことになるため「あの人が育休に入るなら自分が担当しよう」と思ってもらえる、職場で良好な人間関係を築いておくことをおすすめします。

 3-2. きちんと引継ぎを行う

担当していた仕事をどのように行っていたのか、今後の対応についてなど自分に変わって仕事を担当してくれる人にしっかりと引継ぎを行いましょう。既に持っている仕事に加えて新たに任せることになるため、引継ぎ期間が短いと負担になってしまいます。引継ぎは育児休業に入る前に余裕をもって行うことが重要です。

 3-3. 会社メリット

男性の育児休業取得のメリットは、取得者だけでなく会社にもメリットがあります。

・働きやすさの向上

私生活と育児を上手く両立出来ている会社は、子育て世代にとって働きやすい会社と言ってもいいでしょう。実際に育児休業を取得した人がいる場合や、会社が積極的に休業取得を促している場合、今後子育てを経験する可能性がある社員にとって安心して子育てができる会社だと思われるでしょう。それにより、長く務めたり仕事意欲の向上にも繋がるかもしれません。

・助成金を受け取ることができる

先程もご紹介したとおり、育児休業を取得しやすい風土を作り、育児休業の支援を行った場合には会社は助成金を受け取ることが出来ます。

・人材採用の強みになる(新卒・中途問わず魅力になる)

育児に関わりたいと思う男性が多い時代です。男性の育児休業の取得率が高ければ人材採用の大きな魅力の一つとなるでしょう。また、転職を考える方にとって今後のライフプランをイメージして仕事を探している方も多いため、取得実績がある会社は強みになります。

 3-4. 育休申請、会社は拒否できない

育児休業は法律で定められた権利のため、申請を行った社員に対して拒否することは出来ません。また、取得による不利益な扱いは禁止されています。例えば、育児休業申し出・取得による解雇、契約更新の解除、人事課での不利益な評価、減給、育児ハラスメントなどこれらを行った会社に対しては罰則が定められています。

4. 育児休業取得で年収はかわる?

男性が育児休業の取得を悩む理由として職場の理解や仕事内容の他に「収入の減少」が思い浮かぶかと思います。普段の休暇と違い長期間の休業となる育児休業。収入がかなり減るのではないかと思われがちですが、育児休業制度を理解し利用すれば収入の減少を抑えることができます。ここからは、育児休業の取得により、受けられる制度についてお話しします。

 4-1. 育児休業給付金

育児休業給付金は、育児休業取得中に労働者が完全無収入にならないために国が給付金を支給する制度のことです。会社の社員は休業期間中に申請を行うことで給付金を受け取ることが出来ます。また、この給付金は非課税のため所得税はかかりません。

給付金が支払われる期間は、産後休業(出産後8週間)の終了した翌日から、育児休業が終了するまでです。パパ・ママ育児プラスを利用している場合、1歳2ヵ月になるまで支給されます。給付金は条件を満たすことで最大2歳まで延長することが可能です。

 4-2. 出生時両立支援コース

出生時両立支援コース(出生時両立支援金)とは、男性の育児休業を支援した会社が受けられる助成金のことです。この助成金は男女を問わず、育児と仕事の両立を促進させることが目的で、育児休業の取得に対して積極的な会社をサポートをしています。

 4-3. 社会保険料の免除

事業主が年金事務所・健康保険組合に申請することで、育児休業中の社会保険料が被保険者本人、事業主共に免除されます。

 4-4. 税金の負担軽減

育児休業の取得中に支給される「育児休業給付金」は非課税となるため、休業中の収入が無給となった分に応じて所得税、住民税の負担は軽減されます。所得税5%~45%、住民税約10%が給与にかかっている税金で、合わせると15%以上です。これらの税金は給料からの天引きが減額されたり、年末調整により還付されます。

 4-5.育児休業前後の収入の変化

育児休業を取得した場合、休業中は給料が発生しない会社が多いですが、その代わりに「育児休業給付金」が支給されるため、手取り月収のおよそ6割をカバーすることができます。また、休業中は社会保険料や税金が免除される制度があるためこれまでの支出がなくなることになります。これにより、給付金は手元に残るお金として考えると育児休業中の収入は働いていた時とほとんど変わらないということになります。

5. 育児休業の義務化の可能性

育児休業の取得率は男女共に増加傾向にありますが、2019年度の調査で女性が82.2%に対して男性はわずか6.16%と取得率にはまだかなり差があるのが現状です。そのため、男性の育児休業取得を促すために独自の制度を設けている会社も増えています。会社としての育児休業の取り組みについてこまめにチェックしておくといいでしょう。

6. 男性も育児休業を取得する時代

現在、家庭に対する意識が変化し夫婦ともに育児が出来るような環境が求められています。男性が育児休業を取得することによりメリットとなる制度もあるため、今後、育児休業を積極的に取得するような時代がくるかもしれません。取得した場合でも、給付金や保険料の控除・税金の減税があるため、働いていた時の収入より大幅に減るという心配はありません。育児に協力しながら子供の成長を見守るためにも、育児休業の取得を検討してみてはいかがでしょうか。また、取得を悩んだ際には実際に育児休業を取得した知人や詳しい専門家に相談してみましょう。

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