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September 10, 2018

老後の賃貸、持ち家住みをメリットデメットから考える

老後生活

人生100年時代と言われ、年々平均寿命が延び、高齢化社会となっている今の日本において、自分の老後はいつまで続くのか、それは誰にも予測ができません。老後のことを考えた際、誰しもが一度は悩むこと。それは、持ち家がいいのか、賃貸住宅がいいのか、ということです。どちらにもメリットとデメリットがあり、家族形態や地域によって、どちらが良いのかは異なります。実際に当協会へも、将来を考えるとどちらの住居形態がいいのか、という相談はとても多いです。今回はその判断材料のひとつとなるよう、それぞれのよさを紹介いたします。

 

1.老後賃貸のメリット

最近では、賃貸住宅に住み続けることを検討・選択する人も少なくありません。賃貸は将来の選択肢の多さが一番のメリットとして思い浮かぶかと思いますが、その他にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

1-1.引越しができる

老後の新しい趣味や希望のライフスタイルに合わせ、場所や家をかえることができます。収入が減ったときには、住居費を下げるために都心から離れ賃料の低い地方へ移ることや、物価の安い海外にだって引っ越すことができます。ご近所とのトラブルの際にも、持ち家より気軽に引越しを考えられますね。また、ご両親の介護が必要になったため、実家の近くに住みたいと引越しをされる方もいらっしゃいますが、その場合にも柔軟に対応することができます。

1-2.管理がしやすい

造りがシンプルなため、掃除がしやすく、廊下やお庭は管理会社が手入れを行なうため、家の管理がとてもしやすいです。また設備メンテナンスも自分でするのではなく、オーナーさん負担となりますので、必要がありません。

1-3.固定資産税がかからない

不動産を持っていると必ずかかる固定資産税。市区町村への家賃と言うと分かりやすいでしょうか。賃貸住居の場合には不動産を所有していませんので、こちらはかかりません。

1-4.持ち家のメリット

ローンの返済が終われば資産や保険となる持ち家は、老後も大きな味方となってくれます。

・マイホームという安心感

・家族形態に合わせて間取り変更ができる

・ローン完済後には資産となる

・万が一、支払えなくなった場合にも保障がある

 

2.老後賃貸のデメリット

もちろん、賃貸のデメリットもあります。持ち家のメリットがデメリットになる、ともいえますが、将来への対応が柔軟な分、日々の暮らしでは物件に手を加えることができず自由度は低くなります。子どもの兄弟喧嘩で壁に穴が空いてしまったときは悲しくなりますね。また、体が不自由になったときにバリアフリーにすることも難しいです。他にもデメリットはあります。

 

2-1.家賃不安

毎月の家賃を支払い続けなければならず、長生きする分だけ家賃がかかってきます。それ以外にも契約の更新時には更新料が発生し、年金が今後減る可能性がある中では、生涯支払い続けることができるのか不安ですね。生涯賃貸に必要な老後資金は不透明です。ここが老後も賃貸に住み続けていくことに対する大きな課題となってくるかと思います。

2-2.入居が困難

お金を払えば借りられる。そう考える人がほとんどだと思いますが、高齢者へ貸し渋りをするオーナーさんも少なくはありません。所得が低いことや、認知症になったりで家賃滞納のリスクがあること。そして、孤独死の可能性があること。連帯保証人が付けられるのか。

高齢者に対するオーナーさんの不安から借りられないという結果に繋がります。

2-3.持ち家のデメリット

マイホームですので、現役時代から老後生活まで長い付き合いになります。大きな味方ではありますが、デメリットもあります。

・気軽に引越しができない

・売りたいときに売ることができない

・購入時期によっては、退職後にもローンが残る

・メンテナンス費用がかかる

 

3.老後は持ち家か賃貸か

資産として残る持ち家か、柔軟な対応ができる賃貸か。どちらもメリットとデメリットがあり、一概にどちらがいいのか断言することはできません。一人ひとりの将来に対するビジョンが異なるため、人によっては持ち家が良い場合もあれば、賃貸が良い場合もあります。転勤の可能性や、子どもの将来、老後の暮らし方と、貯蓄をしっかりと考え、将来設計をし検討をすることが大切です。

 

3-1.住居費用

賃貸にすみ続ける限り住居費用は発生します。その代わり、持ち家の場合にはローン完済してしまえば老後の住居費用はかかりません。年金や貯蓄で暮らしていく際に、住居費用の有り無しは大きくなポイントになると思います。住居費用は、持ち家の場合は購入時はローン返済のために多少キツイこともありますが、老後はとてもラクになりますが、賃貸の場合には終わりがありませんので、老後もキツイ負担となります。マンションを購入した場合には、管理費や修繕積立金等は支払いが完了した後も発生しますので、注意が必要ですね。

3-2.維持費

住居費用と反対に、賃貸に維持費はかかりません。すべてオーナーさん、管理会社が負担をしてくれるからです。持ち家は固定資産税や都市計画税の年間約10万円~15万円、設備が壊れたときや、外装の塗り替え、間取り変更のリフォームなどの修繕費用1回につき100万円が5年~10年に一度、毎年の火災保険等がかかってきます。老後、収入が下がってからの維持・修繕費は大きな負担となりますので、事前の資金準備が必要です。

3-3.老後費

生活費や住居費のほかに、老後必要となってくる費用があります。突然介護が必要になったため、ヘルパーさんを雇ったり入院費用を用意する必要や、亡くなった後の葬儀費を準備しておく必要があります。これらは持ち家の場合にも、賃貸の場合にも、どちらにも必要となってきます。住居費の他にもお金が必要であることを頭に入れておきましょう。

3-4.相続関係

持ち家の場合、自分たちが死亡した場合には子ども達に相続税が生じます。別の土地に暮らしている場合には、規模や場所によって相続税がかなり高額になる可能性もあります。また売りや貸しに出す場合にも、利便性が悪い場合や郊外の一戸建てはすぐに買い手、借り手が付かないこともあります。子どもの負担を和らげるために、持ち家は生前に売りに出し、現金化しその分を老後資金に当てるという方法もあります。賃貸に関しては死亡時には契約の解除のみとなりますので、そういった不安は全くありません。

 

4.今後の住宅事情

これからの住まいを考える中で、日本の現在と将来の住宅事情を把握することも重要です。様々な要因によって、良いことも悪いこともどちらも発生する可能性がある。そう考えておきましょう。

 

4-1.今の住宅事情

最近では、人口の減少により空き家が問題となっております。そこで問題解決のためにリノベーション住宅等が解消の施策として打ち出され、若い世帯で盛り上がりをみせています。これまでスクラップ&ビルドが繰り返されてきた日本の住宅事情ですが、ここで中古物件の選択肢が増えました。また、空き家が増えてきたということは、老後も条件によっては借りやすくなってきているということです。

4-2.将来の住宅事情

2019年をピークとし、世帯数が減少に生じると調査結果が発表されています。空き家が増加することによって、不動産の価値が下がる可能性があると言われています。住宅購入を検討されている時にそんな話を耳にしたら、見合わせるもしくは遅らせる方が良いのではないかと考える方もいらっしゃると思います。ただ、現在は住宅ローンが最低水準であることや、ローンを組む年齢を後ろにずらすことにメリットがあるのか、2019年になったからと言ってすぐに価値が下がるわけではないということを考えると、購入を遅らせるメリットはあまりないとも言えます。

4-3.高齢者用住宅

最近では高齢者用住宅が増えてきていること、ご存知でしょうか。老後も元気な高齢者向けの賃貸住宅で、バリアフリー化や生活サービスが受けられることもあり、自宅同様の暮らしを望む方から人気があります。段差や階段で転んで寝たきりなんてことを避けるためにも、生活サービス付きは安心ですね。ただ、賃料は通常の賃貸住宅に比べて高く設定をされています。入居費が負担にならない場合には選択肢の一つとしても良いかもしれません。

 

5.老後賃貸で暮らし続けるためには

老後、賃貸がいいのか、持ち家がいいのか。それは、誰にも言い切ることはできません。一人ひとりの暮らし方や将来希望する生活、住んでいる地域、資金の状況などが異なるためです。ライフスタイルやメリットを検討した結果、老後も賃貸で暮らし続けると選択をした際には、早めにライフプランを考え、将来の資金の見立てと準備を行ないましょう。現役時代は会社から家賃補助もありましたが、老後はそうはいきません。自分自身で生涯払い続けなければいけません。毎月の支出や貯蓄がいくら必要なのか、資産形成の準備をご自身で検討することが難しい、不安だと感じているならば、ファイナンシャルプランナーやライフプランの専門家に相談してみるのはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

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